千人にただひとりの男
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最終更新日:2017/02/08
名言
ジョゼフ・ラドヤード・キップリング(1865年~1936年)はイギリスの小説家・詩人で、イギリス統治下のインドを舞台にした作品、児童文学で知られています。1907年にノーベル文学賞を41歳の史上最年少でイギリス人としては初めて受賞。
千人にただひとりの男
ジョゼフ・ラドヤード・キップリングソロモンは言う。
千人にただひとりの男とは兄弟よりも強い絆で結ばれるだろう。そうでない者よりさきにその夫を見つけることができたなら、生涯の半分をかけても探す価値がある。
九百と九十九人は
世間がおまえをどう見るか、それで態度を定めるが、
千人にただひとりの男は
世界じゅうがおまえの敵にまわっても、おまえの友であるだろう。そんな男が見つかる保証もなければ、祈りもなく、
すぐに見つかる兆しもない。九百と九十九人は
おまえの見てくれ そのおこない、栄華によって揺れ動く。が、千人にただひとりの男がおまえを見つけ、おまえが彼を見つければ、
ほかの者などどうでもよい。千人にただひとりの男はいかな水の中にさえ
おまえとともに沈むだろう、おまえとともに泳ぐだろう。これといった話もせずに、おまえが彼の金をつかうなら、
彼もまた断わりもせずおまえの金をつかうだろう。それでもなお、いつもの通りで顔を合わせば笑い合う。
まるで貸し借りなどないかのように。九百と九十九人は
自分とのつきあいに銀や金を求めるが、
千人にただひとりの男には、それら金銀すべての価値がある。
なぜならば彼のまえでは心を表に出せるから。いついかなるときであれ、
彼の過ちはすなわちおまえの過ちで、
彼の正しさはすなわちおまえの正しさだ。だからみなが見ているまえで立ち、それをはっきりさせるのだ。
おまえだけが知る理由から!九百と九十九人には
恥ずかしさにもからかいにもあざけりにも耐えられない。
しかし、千人にただひとりの男はおまえの味方でいづける。
絞首台のすぐそばまでも―そして、そのさきまでも!訳:田口俊樹
田口俊樹(1950年6月12日 – )は早稲田大学第一文学部卒。出版社勤務を経て都立高校教員となる。教員生活を送りながら、1977年早川書房に勤める高校時代の友人の紹介でミステリー翻訳に手を染める。1988年3月に高校教員を退職し翻訳専業になる。ローレンス・ブロックなど、ミステリーを主として翻訳している。英米文学翻訳家。
The Thousandth Man
Joseph Rudyard KiplingOne man in a thousand, Solomon says,
Will stick more close than a brother.And it’s worth while seeking him half your days
If you find him before the other.Nine nundred and ninety-nine depend
On what the world sees in you,
But the Thousandth man will stand your friend
With the whole round world agin you.‘Tis neither promise nor prayer nor show
Will settle the finding for ‘ee.
Nine hundred and ninety-nine of ‘em go
By your looks, or your acts, or your glory.But if he finds you and you find him.
The rest of the world don’t matter;
For the Thousandth Man will sink or swim
With you in any water.You can use his purse with no more talk
Than he uses yours for his spendings,
And laugh and meet in your daily walk
As though there had been no lendings.Nine hundred and ninety-nine of ‘em call
For silver and gold in their dealings;
But the Thousandth Man h’s worth ‘em all
Because you can show him your feelings.His wrong’s your wrong, and his right’s your right,
In season or out of season.
Stand up and back it in all men’s sight
With that for your only reason!Nine hundred and ninety-nine can’t bide
The shame or mocking or laughter,
But the Thousandth Man will stand by your side
To the gallows-foot – and after!
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